今回は「空き家対策特別措置法(空き家特措法)」によって生じる、様々な経済的な負担についてまとめてみようと思います。
この法律により、一言で説明すると“国が危険と判断する空き家を解体”することが出来るようになりました。
実際に空き家特措法が施行された2015年から2016年5月までに合計9件の空き家が解体(※1)されました。
現在は15件程度に収まっていますが、葛飾区では今年3月に解体が行われてから、「うちの近所の空き家も取り壊してほしい」といった通報が数多く寄せられ、所有者が更地にするケースが100件近くに及んだといいます。
実際には空き家が解体されるプロセスは以下の通りです。
まずは、地域住民の苦情などが自治体に寄せられ、調査が行われます。
そして行政が「特定空き家」に該当するかを判断するのですが、ここでいう「特定空き家」とは、
①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態(これには殆ど該当してしまうのでは?)
④その他の周辺生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
以上の物件を指します。
この定義に対する解釈は、自治体担当者の主観にも大きく左右される可能性があり、空き家の所有者は注意が必要です。
【空き家が取り壊されるまでのプロセス】
ここで「特定空き家」に認定され、助言や指導に従わず、勧告を受けてしまうと、何と「住宅用特例」から除外されるという、厳しいペナルティーが課されます。
この住宅用特例が受けられなくなると、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍に跳ね上がり、合わせて税金が約5倍(※2)高くなってしまうのです!
例を挙げると、課税標準が2,000万円の物件の合計税額は通常約7万円です。
ところが、住宅用特例が適応されない場合は約34万円と5倍に上がります。
勧告にも従わず、命令、行政代執行と進んでいくと、罰金や解体費用を支払うなど、少なくとも数百万円のお金がかかってしまう可能性があります。
問題は他にもあります。地域住民から苦情を寄せられて建物を解体したとしても、別荘などの不動産は上物がないと売却が困難になってしまうのです。
建築費が上がっている現在、セカンドハウスとして所有する物件に大きなお金をかける人は本当に少なくなりました。
また、2013年に発表された土地統計調査(総務省)によると、長野県の空き家は19万4千戸で、平成2008年と比較して約1万戸増加しました。
大手証券会社の分析によると、今後、空き家の数は加速度的に増加し、十数年以内に3軒に1軒が空き家になるそうです。
我々は、相続などで手に入れた空き家状態の別荘(或いは田舎物件)などは、早い段階からしっかり管理をして価値が下がらないよう気を付けるか、管理をしながら早々に売却してしまうことをお勧めしております。
それが、最もお客様の資産価値をまもることに繋がるからです。
弊社では物件の査定も無料で行っております。
是非、お気軽にお声がけ下さい。
※1:一部部分解体。
※2:固定資産税=課税標準額×1/6×1.4%、都市計画税=課税標準額×1/3×0.3%
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